品貧生活研究所

目標︰アルバイト卒業【1L2CK.YOKOSUKA】(イベント・レンタルスペース)/毎月第三土曜日【贈与喫茶Mr.エレファント】(無料カフェ)/毎月最終土曜日【哲学カフェ横須賀】/【なんでもやっとうと?】(便利屋)⇒「あなたの小銭が必要です」

実録︰バスとバーバの思い出

どうも。

関東の皆様は、「バーカ」

失礼。

訂正。

「バーバ」と呼びますよね。

婆ちゃんのこと。

【バス停】

夜ひとりで、知らないバス停に立っていた。誰もいなくて、さみしくて、怖くて、煙草を吸う。時刻表のケースには、禁煙マークが貼ってあるのだけれど、誰もいないから。一脚の椅子に座り、数分後バスが来る。誰ひとり乗っていなかった。

【ブーブー】

五歳の男の子と婆ちゃんはバスに乗る
ふたりで街に行くの
ブーブー
乗るときに
「ピッ」も
ペラペラカードも無い時代

婆ちゃんが通路側
男の子は窓側の席
バスの階段を登ってすぐ右手

男の子は牛乳アレルギーで
でもその頃はそれを知らなくて
よくうんちを漏らしていたのよ

「婆ちゃん、ブーしたい」

《ブー》

「次、停車します」

婆ちゃんは、男の子と途中下車する
バス停のすぐそこのパチンコ屋に入る

コンピロコンピロコンピロ♫
耳をつんざく轟音の中を

ずっと奥の方へ男の子の手を、握って
ゆっくりと歩く

(急がないでブーしちゃうよ)

婆ちゃんは急がない
男の子が口にしなくても
婆ちゃんは急がない
急げないだけなのかもしらんけど

《ブー》

「婆ちゃん、帰りたいちゃけど。まだお腹痛いけん、行きとうない」

「そうたい。そうしようね」

ブーブー🚗

「したら、婆ちゃんひとりで行ってくるけん、○○ちゃん、家で待っといて。すぐ甘かお菓子ばこうてきちゃるけん」

「うん」

ブーブー🚗

【太陽対応】

婆ちゃんは太陽で、分け隔てなくぬくい。
そのぬくか布団にそん子は入りよる。
毎晩、婆ちゃんの部屋に居らすと。

ばってん、ほんなこつ言うと、弟みたいにくさ、パパとママのおる部屋で寝たかったはずったい。やけん(だから)「こへや」とか、いらんかったったい(必要なかったんだよ)。

「個」を作らんといかんち、思う、その浅薄な無思考、思考停止、つまり「バーカ」な、なーんも考えん太陽のバカさ加減に、男の子は、たちくらむ。

でも、そんなん、太陽と月の関係とか、五歳じゃわからんとですたい。でも何で、太陽が空に出とる時は、月はおらんとないか(いないのかな)?と、不思議やった。一緒におっても、一日に、ほんの数時間だけ。

やけん(だから)本来そん子が抱きしめられねばならん、「月」は、「太陽」の光に苦しめられて、いーっつも、「しんげつ」ば決め込む。

🌑
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【物語療法】

男の子は本当は「月の光」に照らされて生きていくべきであったのだ。男の子もまた、それを望んでいたし、欲していた。でも、月はいつも隠れている。ある日は雲の中に、ある日は山に隠れて、だいたいは、大きな蓋をして、姿を見せない。

🌑

寒い。

男の子は階段を降りて、太陽の光を浴びに行く。太陽はいつも男の子を包み込んでくれる。男の子はとりあえずで、あたたまる。今日は大丈夫。男の子には太陽があったから、大丈夫だった。有り難み以外に無い。そこにしか、男の子の居場所はなかった。

それしか、そこにしか、在ることのできない時には、ひとは、信じ込む以外になす術がなく、そこに狂信が刷り込められる。一生外せない足枷。もしくは、生きるための基盤。

男の子には居場所があった。しかし、そこは「代わりの」居場所であるのだとの、戸惑いがある。太陽のあたたかみで、その日や、明日まではあたたまる。だが、その無神経なあたたかさは、やがて男の子の肌を焼き、日焼けが皮膚に残る。皮膚が弱いのに、適正光量を逸脱している。

そ~、ミスマッチ。

🌑

ゆくゆく分かる。
太陽と月の不和を。 
男の子と同じく、月は太陽の光量とうまく付き合うことが出来なくて、自ら、太陽の下での生活を拒否した。男の子は、自ら求める月の光の得られぬ、その因が、自分の唯一の拠り所である太陽の光であることに気づく。

本当は包まれるべきは月の光であった。

現実は太陽の光に包まれた。
肌を焼きながら。 
本当はそれは望んでいない。 
が  
男の子も生きるために必死になった。
 
そして

月の光は太陽の光を忌み嫌い避けていた。
そのことに、気づいたときに、

男の子は裂けてくる。

自分が愛しているものを愛されたいひとは嫌っている。子どもはその点敏感さ。

愛するチカラを持つものに肌を寄せる。

現金なもののようでしかし、それしか、選択肢やことば、身体が無いのだから。同仕様もない。

同仕様もないものごとに、対して、「光の当て方」を試す。光量を計算し、被写体の皮膚をよく眺める。実験である。

入り組んだ凸凹のロックアイスの、霜を丁寧にお祓い、小さく小さくピックを突き刺し、真ん中を、寸止めで○を目指す。スポットの下で、光の屈折を見る。くるくると手のひらで踊る踊る踊る、氷。冷たいけど、麻痺させて、回し続ける。

落ちようがないから、どこかで、OKを出す。

とりあえずで、ここで。

〜〜〜

また。