品貧生活研究所

目標︰アルバイト卒業/症状︰ASD,ADHD,AC and more.【1L2CK.YOKOSUKA】(イベント・レンタルスペース)/毎月第三土曜日【贈与喫茶Mr.エレファント】(無料カフェ)/毎月最終土曜日【哲学カフェ横須賀】/【なんでもやっとうと?】(便利屋)→「あなたの小銭が必要です」

190428

『手紙を書く』

谷戸の階段を降りる。いつものように、200段の階段を降りる。3つある角の2つ目を曲がると、前におばあさんの姿を見る。1歩1歩、杖を使って降りている。僕の時速が3キロメートルならば、おばあさんの時速は0.3キロメートルだ。2人の差は15メートルある。何秒後に僕はおばあさんに追いつくだろか。僕はその場に佇み、しばらく山を見ていた。気づくと、おばあさんの姿は無かった。計算通りだ。

地上に降りたち、汐入駅へ向かう道すがら、人とすれ違いそうになる。僕は徒歩、相手は自転車だ。町内会で何度かお話をしたことがある方だ。僕は挨拶をしたい。僕は彼女を知っている。名前も覚えている。でも、相手は僕のことを覚えていないかもしれない。その可能性が高い。だから、言葉は抑えらる。でも、未練がましく目線を送る。僕はあなたを知っている。それだけを伝えたかった。その刹那、「こんにちは」と明るい笑顔が差し出される。安堵と驚きを同時に感じ、「こんにちは」と、声が洩れる。0.5秒後、忘れないようにと笑顔を添えて。ドキドキした。10秒後に喜びの気持ちが沸いてくることに気づく。そう、僕は嬉しかったのだ。

駅前のダイソーで便箋を買う。その足でエレベーターに乗り、3階に登る。お気に入りの無料スペースに行く。机と椅子があり、大抵誰もいない。やかましいテレビの音を除けば、そこは図書館だ。

手紙書く。書きたかった、書けなかった、書きたくない手紙を書く。一気に書く。分からない漢字はひらがなで。無手でまっさらに書く。手紙を読むであろう相手に向かい。結局は自分と向き合っているのだが。

読み返さずに清書に移る。10枚の下書きのうちの2枚目で辛くなり机を離れる。ちょうど、横にスーツ姿のビジネスパーソンが座ってきやがったから、ちょうどよいやと、荷物を纏める。当てどなく、煙草を吸う場所を探し、そうする。不味い煙草を吸いながら、相手のことを考えずにはいられない。相手を自分の内より排除したいがために、手紙を書く。感謝の装いで、その実真逆の効用を自身に期している。愛のようなものは、いつもアンビバレンツなものだと、自分を宥めすかす。スカした奴にはなりたくないが、ここは横須賀だ。それもまた許される、アメリカの土地だ。