品貧生活研究所

神奈川県横須賀市汐入町の谷戸(自動車の入れない階段を200段登る)における、「品」と「貧」の共存を目指す生活を研究し、その成果を報告する在野機関。研究所にカフェの併設を目論む。

『働くことの哲学』:第1章:パンを焼く

じっさい、いわゆる「賤しい」職業は、都市国家でよく言われないどころか、一般にひどく軽んじられている。(中略)
 この仕事に就く者のなかにはひがな一日火の番をさせられる者もいる。その結果、身体が疲れきるだけでなく、心のほうもすっかり無気力になってしまう。のみならず、いわゆる「賤しい」職業は、当人から友人やポリスを気遣う余裕をも奪いさる。だから、この手の人びとはろくな友人づきあいもしなければ、自分の国を守る気概も欠いた人間になりさがる。p35、36↑引用文

 

前提結論:人による

 

ひがな一日、パンを焼いていた。
1個100円、1日100万円。
焼成(しょうせい)パンの構成比率は約50%。
5000個パンを焼く。
一枚の鉄板に10個。
鉄板500枚。
一窯に、鉄板は4枚入る。
一日125回ブザーが鳴る。

ビービービー

4窯あるから、いっぺんに鳴ったら、
「ビー ブー ピー ピピピ ビー ブー ピー ピピピ ビー ブー ピー ピピピビー ブー ピー ピピピ 」


AM5:30:出勤ボタンポチ
PM14:30:退勤ボタンポチ
「休憩いただきます」
PM15:00:・・・
「休憩ありがとうございます」
PM19:00:焼き終わる

PM21:00:閉店。

 

今日のロスは50,000円(=パン500個)。
売上は100万円だから、ロス率は5%。

上出来!

 

PM21:30:お先に失礼します!

 

ブ―ブーブー

 

僕は自分の「賤しさ」に飲み込まれて、ブ~垂れて、そのうち、「グ~」も出なくなって、結局「あ~」となった。
しかし、一方では、
「賤しさ」を受け止めて、「グー!」(Good!)に、輝きながら働く人たちも少数ながらいた。
でも、大半の人たちはその中間だったように覚えている。

僕はいまだにあの、「賤しさ」の渦の中で、輝きを放っていた顔を覚えていて、正直に恐れ、同時に憧れを禁じ得ない。

 

あの顔は何だったのだろうか?

 

*引用は、『働くことの哲学』ラース・スヴェンセンより。

引用文章はクセノフォンの対話編『オイコノミクス』よりの孫引き。